タイトルと表紙に惹かれて手に取ったコミックだけど
ゆるくて癒されるストーリーにハマった。
いつまでも読みたい日常系コミック。
主人公の小路三貴は仕事が出来て気遣いも出来て部下からの信頼も厚い
完璧なイケおじ。
どこを取ってもパーフェクトな彼にはひとつ秘密があった。
それはカワイイものが好きだということ。
推しの「パグ太郎」というキャラクターをはじめ
カワイイものを愛してやまない小路さん。
完全に周りには隠しているので同僚も部下も知らない
自分だけの秘密の趣味だった。
隠れて楽しんでいたため奥さんにも別れを告げられ
バツイチで一人暮らし。
ひとり自分の趣味を楽しんでいたが
隠し事というのは割と難しく何度か周りにバレそうになったり
甥っ子との同居が始まったりとなんやかんやヒヤヒヤする。
そうやってヒヤヒヤしながらも、ショップ巡りをしたり
コラボカフェにも行ったりテーマパークに行ったり
ちゃんと満喫している。
どんな感じでショップに入っていくかコラボカフェに入るか
テーマパークには誰とどうやっていくか・・・
ひとつのことをするにも色々作戦を立てるのも
周りの目を気にするのもオタクあるあるなんじゃないかと思う。
誰も気にしていないのに、みんなから変に思われてるとか
不審な行動しちゃったかなとか、自分でも考えがちだなあ。
自分に「推し」がいる人や隠しておきたい趣味を持っている人には
共感できるハラハラ感なんじゃないだろうか。
誤魔化し方もスマホの待受画像をカモフラージュ画像にしていたり
キャラクターショップに入る時には幼かった甥と一緒に入ったり
「分かるな〜!」と頷けるものばかり。
またそこまで隠さなくても案外他人は気にしないものと思っても
本人が気にし過ぎてしまっているのも分かる。
これが好きだと言うとなんか恥ずかしいし悪いことのように感じる。
でもその罪悪感が「推し」に対して失礼かもしれないという葛藤も
多くの人が経験したことがあるのではないか。
勇気を出して友人に打ち明けたとしても
冷やかされて後悔したこともその経験がトラウマになったことも
想像するのは簡単だと思う。
そして小路さんのすごいところは
万が一周りにバレてしまった時に
同じくカワイイものが好きなおじさんたちのイメージを
自分が崩してしまわないように仕事や日常生活を
完璧にこなしているところ。
自分の好きなものでいろんなモチベーションは上がるのだろうし
同志たちへの気遣いもないわけじゃないけど
個人的に彼ほどしっかりこなせない自分がいる。
また、完璧に過ごすのは仲間のイメージダウンよりも
自分のイメージを少しでも良いものにしておきたいと言う
気持ちの方が強くなってしまうと思う。
仕事が出来ることに関しても元々の能力に限界がある。
小路さんは課長職だが、持って産まれた能力に推す力が働いて
そこまで上り詰めたのかなとなんとなく思う。
必死で周りに誤魔化したり、ひとりでカワイイものを満喫したりするところは
面白くてクスッと笑ってしまうと同時に自分と重ねるところもある。
周りへの気遣いやパーフェクトに仕事をこなす場面では
私ではとても真似できない領域だと思う。
そんな共感と尊敬が混じっているから小路さんファンになり
彼の「押し事」を見守りたくなるんだろう。
理解のある人ばかりじゃない世の中だから
あえて周りには言わず自分の中だけで楽しむ
そんなスタイルでも十分に楽しい。
時には自分の好きなものを周りに公言して
簡単に同志を見つけていたり、周りが思いがけず
情報を提供してくれている人を羨ましくも思うけれど
そんな感情を抱くことも「押し事」のスパイスだったりするのだろう。
ちなみに小路さんにはちゃんと同志の友人ができます。
その友人とのやりとりも、学生時代教室の隅でしたなー!
と懐かしさあり苦笑いありの気持ちで見ている。
私はとにかく好きすぎて、電子も紙も手元にある。
現在9巻まであるがどうしてか8巻が見当たらない。
手入れも億劫になってしまった書棚のどこかに眠っているのだろうか。