子供の頃、小学校で定期的に開かれた「おはなしの会」
図書室に集まって授業ひとコマかふたコマ分使って
ボランティアの方や学校司書さんが聞かせてくれたおはなし。
どれも短くて単調なものが多かった印象だけれど
その単調さが面白くてまた安心できた。
このおはなしの会が私は好きだった。
子供の頃に体験した楽しくて暖かな雰囲気がそのまま本になった
おはなしのろうそく。
図書館の「おはなしの時間」で語られた作品を集めたものだそう。
知っている作品から知らないものまで短い童話が10話収められている。
私が手に取ったのはおはなしのろうそく9。
黄色い表紙にホットケーキと母親子供たちが描かれている。
このなんともほっこりする雰囲気に癒された。
私のお気に入りのおはなしは表紙にも使われている「ホットケーキ」
お母さんがお腹を空かせた7人の子供のためにホットケーキを焼くのだけど
焼き上がったホットケーキはコロコロ転がって逃げ出すという内容。
逃げている最中ホットケーキはいろんな動物に会う。
リズムをとって読みたくなる語り口調と
同じ展開が繰り返されて、童話ならではだなあと感じた。
いつまで同じことを繰り返すのか、最後はどうなるのか
そんなオチへの期待とリズミカルな文章で子供達の
興味を惹きつけ魅了していくんだな。
もちろん語り手の腕というのもあるのかもしれないけれど。
児童文学にはワクワクするような冒険要素が大事だと思っていたけれど
実は変化のない単調なものも魅力があると思い直した。
その単調さは決して退屈ではなくて、どんな終わり方をするんだろうと
子供でも考えられる内容であるので飽きがこないのかもしれない。
小学校の低学年くらいまではそんな簡単な内容も必要なのかな。
単調なものはぼんやりしながら聴けるし、展開を予想する練習にもなるように思う。
冒険ものやファンタジーチックな作品とのバランスが大事なんだろうな。
他のおはなしも子供に聞かせるのにちょうど良い長さで
童話特有の優しさと安心感がある。
これらを素語りで話す語り部の人は本当にすごい。
物語を覚えるだけでなく子供の集中を切らせない話し方が
出来るのは一つのスキルだと思う。
いつの日か私も学校司書さんまでとはいかなくても
せめて自分の子供に聞かせてあげられるようにはなりたい。
今は疲れた時に脳みそに与えるおやつ代わりに
1人で読んでいるけれど、母娘一緒に楽しめる時が来るのを
ワクワクしながら待っている。