最近は実写なんかにもなって割と噂の
私の幸せな結婚。
少しネタバレあり。
大正時代の日本とファンタジーの要素で作り込まれた
世界観がとても好み。
異形と呼ばれる妖怪のような存在があり、
人間に害をなすのでこれを討伐する役割の人がいる。
討伐する人々は、代々超常的な力とされる異能を持ち、特殊な家に生まれる。
彼らは特別な能力を買われてお国からは大切にされていた。
そんな異能を操る家柄に産まれたのがヒロインの斎森美世という女の子。
幼い時に母親を亡くし継母と義理の妹と暮らしているのだけど
美世は異能を持たず、義妹に異能の力が現れたため
実家では見下されて育ってきた。
そんな美世の元に縁談が来るのだけれど、
あまり良い噂は聞かない相手だった。
不当なまでに蔑まれ、召使い以下のような扱いにも耐えて
思わぬ結婚で幸せを掴むといういわばシンデレラストーリー。
展開は何となく予想はできるけれど、飽きずにページをめくってしまう。
美世が実家で理不尽な目に遭っている時は本当に
腑が煮え繰り返る気持ちで読み進めていた。
実の父も味方にはなってくれず、
モヤモヤしていたけれど、心のどこかで
この子はもう時期幸せになるんだろうなと
期待できる部分があったからありがちだけれど
飽きることなく読めたのだと思う。
なんだかんだで下剋上物や不幸な子が報われるという話が好きなのかもしれない。
和風で何とも浪漫を感じる大正の雰囲気も個人的にマッチしていると思う。
そして少し冷静になってみると悪役側にも複雑な感情があったのかなと思う。
もちろん手酷いいじめは良くないし実の娘を助けず、妻と娘の好き放題に
させていた父親も家長としてどうなのとは思うけれど
名家であるが故の政略結婚で本当に好きな人とは一緒になれない。
また、国から大切にされている身分であり後継者的な考えもあり
異能のない実子よりも能力のある方を大切にしてしまったのかなと思う。
継母も前妻の子など可愛がれないだろう。
美世の母親がいなければ自分が何の傷害もなく
好き合った人と結婚できたのだから。
子供に感情をぶつけるのは間違っていても
きっと理性じゃ止められなかったんだろうな。
そんな殺伐とした家庭内の雰囲気を産まれた時から感じていた
美世の妹も、捻くれた価値観になって当然と言えば当然。
でもやっぱり斎森家許せない!という気持ちはずっとあった。
不当な扱いを受けてきた美世はこれ以上ないってくらい
報われるので読んでいてとてもスッキリ。
自分がとても幸せなのに、実家に対して大きい顔をせず
いつまでも謙虚なヒロインに好感が持てる。
同時に長くいじめられていたせいで自尊心が低く
自信がないところは庇護欲が掻き立てられる。
このスッキリ感があったから、継母や義妹の気持ちなんかを
考えられたのかもしれない。
手元には4作目まであるが、ぜひ続編も手に取ってみたい。
お財布が許せばコミックも・・・。