心の安定剤

ほんわかした短編小説は読みやすい上に
心の状態を落ち着かせる即効性があると思う。

「今宵も喫茶ドードーのキッチンで」は
多くの人も経験したことのある悩みを
抱えた5人の登場人物たちが
住宅街の真ん中にある「おひとり様専用カフェ」を訪れる。

この喫茶ドードーの雰囲気がジブリの森のようで
とてもいい感じ。
店主のそろりさんも風変わりでマイペースで癒し系。
私自身もメニュー看板に誘われて辿り着けたらいいな。とか、
そろりさんにアルバイトとして雇われたいな。とか
思いながら読んでいました。

私が好きなのは、一話目の
「自己肯定力を上げるやかんコーヒー」というお話。

女性が主人公でSNS上の#丁寧な生活を発信している人に
憧れて、あれこれ真似したり道具を揃えたりしている。
でもそのライフスタイルがちょっとしんどかったり
せっかく買った物をうまく使いこなせなかったりと
違和感を感じている・・・。
そんな自分に落ち込んだり違和感を認めたくなかったり。

これ実は私も同じ経験したことがあって
とても共感しました。
憧れの人と同じものを使う、同じ習慣をしてみる。
でもなんだか違うぞ。ちょっとしんどいかも。
と冷静な自分が感じている。

その冷静な自分を信じたくない気持ちが優ってしまう。
だって憧れている大好きなあの人がやっていることだから!
自分にも合うはず!と思ってしまったり
同じものを買った場合はお金もかかっているので尚更
違和感なんて感じてないよ。と思い込んでしまう。

だけどやっぱり、憧れの人が使っていようが
自分の本当に欲しかったものでなければ
しっくり来ないのだろうし、ライフスタイルを
真似てもその人みたくなれる訳じゃない。

好きな人のことを何でも真似したくなるけれど
持ち物や生活習慣をそのまま真似する前に
一度冷静になって、憧れてる彼や彼女は
何を思って買った愛用品なのか、
何を考えてその習慣なのか考えてみる。

そしてその思考の部分に共感できたなら
同じものを買うなり自分に合ったものを買うなり
していくことが大事なのかなあと思う。

習慣にしても自分がしんどいことは
どうせ習慣にはならないのだし、
最初はそのまま取り入れたとしても
自分のいいようにカスタムしていく。

大事なのは見えているものをそのまま真似するのでなく
憧れている人の考え方とか価値観の共感できた部分を
自分の中に取り入れてみたり、純粋に羨ましいと思う部分を
少し真似してみる。

自分自身から乖離しすぎないのが心地よく
過ごせるポイントなのかなと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です