祖母の「お姫様のような旅がしたい」という
リクエストに応えるべくイギリス旅行に付き添った
作者さんのエッセイ本。
「祖母姫、ロンドンへ行く」
小説なのかな?という装丁で書店に行くたびに
気になっていた本。
実はエッセイだった。
読み始めはエッセイだったのか!
という感じだったが読み進めていくうちに
エッセイなんだよね?
実際にあったことなんだよね!?
そんなふうに定期的に確認してしまうほど
素敵で良い意味で現実離れした内容でした。
作者さんの祖母の介助をして
リクエストに応えて通訳もして
さらに自分の遊びまでこなしてしまう
パワフルでハイスペックなところに憧れた。
仕事ができる人ってこんな感じなのかなあと
読んでいて思った。
また作者さんとホテルスタッフの
不思議で素敵な絆も魅力的。
本当にエッセイなんだよね?と
一番感じた要素だった。
一流ホテルのスタッフに誤解からとはいえ
仲間意識を持たれるってなかなかないだろうなあ。
そして作者さんを中心に周りの人へ語りかける
お祖母さんの言葉も重たく響く。
読者にとっても貴重なアドバイスになるだろう。
素敵な経験談や得たものを一冊の本という形で
多くの人に共有していただいて本当に感謝です。
実際に自分が経験したわけではないので
私が得られるものとは本当に僅かなものだと思う。
それでも本を通して世界にはこんな素敵な人たちがいて
プロフェッショナルに仕事をする人がいるのだと思うと
自分ももっと頑張らなきゃと気持ちが引き締まる。
「自分は生まれながらの美人だと思ったことはない。」
「だから美しくなろうと努力してきた」
「努力をしなければゼロのまま、でも百も努力すれば
一か二にはなる」
という中盤のお祖母さんのお言葉が強く残っている。
美しくなろうということに対してもそうだけど
きっと全てのことに言えることだよなと感じた。
仕事や勉強や趣味も百努力してこそなのだと
考えさせられた。
このセリフが私の中で最後に作者さんに語りかける
「あんたは賢いし、英語もペラペラの喋れる
お医者さんになって、男の人とも対等に渡り合えるでしょう」
という言葉につながった。
この部分を読んでいて果たして私は今までの人生で
積み上げてきたものの中に目に見えて
結果が残っているものはあるかと考えた。
学歴も無ければ、勉強が出来たわけでもなく
大きな会社で働ける能力もない。
それなりに努力はしたことはあっても
その場しのぎだったなあと少し切なくなった。
私が積み上げてきたものはなんだったのかと
ふと冷静に考えた瞬間だった。
何もないならひたすら頑張って
せめて一でも二でも変わることが出来たらなと
年甲斐もなく思った。
ダメな自分を受け入れて自分はダメだからと
全てを諦めて生きるより少しでも自信が持てるように
いつまでも学び、外も中も綺麗に年齢を重ねていこうと
思えた一冊だった。