定期的に読み返したくなるくらい好きな「赤毛のアン」
静かにじっくり読んでもいいけど、
テレビが流れていても、子育てや家事の合間などでも
ちゃんと分かる優しい表現なのも魅力。
今までは、少し冷たい態度をとりながらも
少しずつアンを好きになっていくマリラに対して、
厳しい人だなと思っていた。
なんだかんだ言ってもアンの事を好きに思っているなら
その気持ちをもっと態度にも表したら良いのにと
所々で感じていた。
それが、今読み返すと彼女に対して共感でしかない。
そしてちゃんと大事に思っていることも表に出している。
特に強くマリラに同情し共感した場面がある。
アンがアヴォンリー村に来て初めて日曜学校へ行く日。
マリラは体調が悪く欠席。アン一人で行く事になった。
アンは自分の質素な服装がどうにも不満で、
教会までの道のりに咲いている花を摘み、
帽子にいっぱい挿して出かけた。
村の人は噂になっている「引き取られてきた女の子」の
格好に好奇の目を向ける。
後日この事がマリラの耳に入ると、
まるで村中から自分が責められているような
自分の失敗のような情けない気持ちになり
アンを叱る。
「頼むから、今この場所、この時は大人しく良い子にして」
という全親の切実な願いが詰められている場面だと思った。
「我が子の失態が自分のことのように恥ずかしい」
「周りから責められているんじゃないか」と執拗に感じてしまう気持ちは
子供を育てていると、度々行き当たる感情。
「他の女の子と同じようにしてくれたら良い」
「ちゃんと良い子にしてて」
繰り返しアンに対してマリラが言う言葉だけど
すごくよく分かる。
他の子と同じようにして欲しいという気持ちは
自分が悪目立ちしたくないと言う本音なんだよね。
本当は他人と同じにならなくても良いのだし、
アンはそのままでも、十分すぎるほど良い子なのに
マリラがくどくど言うのは、ちゃんと躾が出来ていないと
周りから思われないためなのが強くあるんだと思う。
もちろん今まで誰からも教育を受けられなかったアンには
少し欠けている部分があり、マリラがそれをしっかり矯正するという
責任感や真剣さも本当に感じていること。
周囲の目を気にするのも、ちゃんと育てていきたいと思うのも
どちらも本音だから色々思い悩むんだろうね。
基本的にアンは叱られたら素直に謝るけれど、
自分の主張もちゃんとする。
引き取られて日も浅いのに、そんな返しができるの!?と
びっくりする場面もあるがそれに対して
マリラも無理やり押さえつけたりしない。
アンの事情や気持ちをしっかりと聞く。
そのやり取りがまさに親子の絆を深めていく過程と
重なって見える。
力仕事を手伝ってもらうため孤児院から男の子をもらうつもりだったが
ちょっとした手違いで女の子がやって来た。
人生も後半になっていきなり子供を育てる事になったが、
不器用で分からないなりに、懸命に自分の責任を全うしようとする
マリラの姿は世の中の母親を連想させる。
自分はマリラほど精神的に自立してはいないし
彼女ほど理性的に動くことは出来ないけれど、
彼女と一緒に我が子と向き合っていけたらと思う。